行動経済学のススメ。

ついに、卒業まで50日を切ってしまった。


ひゃー、やっぱり1年のプログラムは早い!


春休み後の2ヶ月は、

授業が過密で課題・課題・課題に追われているので、

本当に焦っているうちに終わりそうで怖い!!


・・ので夜中の課題作業の合間に更新・・・。


週末はボストンにもついに春が来たような陽気で、

New Admit Day(今年の合格者の入学前イベント)が行われていたので、

ついに季節が巡ってしまったような、

実感としても寂しさが少し出てきた。


(春日和で公園遊びも本格化)


人生で勉強に集中できるのも、最後という気持ちで乗り切ろう・・!


***


さて、今期とっている面白い授業の一つに、

Todd Rogers教授の行動経済学がある。


3年前に当時ケネディに在学中だった友人が


「わかっちゃいるけどやめられない〜♪」


という植木等の昭和の名曲とともに


なぜ人はわかっているのに辞められないのか・・・?


というプレゼンで、


行動経済学について紹介してくれたのが

とても印象的に残っていて、


それ以来、ケネディにいる間に取ろうと思っていた科目の一つだ。


***


行動経済学は、簡単にいうと、


従来型の経済学の前提である、

「人は合理的であって、効用を最大化するために動く」

(その他、選択は多いほど良い、好きなものは変わらない、

 時間でコンスタントにCFは割り引かれる、、などなど)


で説明しきれない「現実の人間の行動」について


心理学的な側面から分析して、

経済学のモデルに足し引きしたりして、

理論的に説明する学問だ。


***


2017年にノーベル賞を受賞した

行動経済学のリチャード・セイラー教授で有名になった「Nudge」。


その本を共著したキャス・サンスティーン教授も在籍してる

ハーバードは、行動経済学のハブとして進んでいるそうで、

行動経済学という括りでも、

経済理論寄りの授業、フィールドワークの授業など色々選択肢がある。


中でも、

わたしの選択したTodd Rogers教授の授業

「Science of Behavior Change」 は

主に行動経済学の理論を使った

「実践」(application)に重きを置いている授業である。


例えば、

国民の預金をあげるにはどうすれば良いのか?

学生の不登校を減らすには?

より税金の納付率を上げるには?

電力の使用を控える省エネ喚起のためにどうするか?

より多くの人が臓器提供に賛同するにはどうすれば良いのか?

どうすれば携帯を見る時間を少なくして早く寝ることができるのか?

どうしたらカフェテリアで健康な食事を選択させられるか?


・・・などの、政策課題から身近な課題まで、


行動経済学の理論を使った

解決・・・までは行かないが、”Nudge”する

すなわち、少し押してあげることによって

効果を発揮する支援方法を考える授業だ。


実際の人間心理を考えたら、

すごく小さなことで

結構インパクトがある介入(intervention)ができるよね、

というもの。


例えば、行動デザインの一例として、


オランダのスキポール空港で、

男性用のトイレの真ん中に、

ハエの絵を描いたら、

周辺を汚すのが8割くらい削減されたとか・・・

(男性はターゲットがあると、

そこを目掛けてしまう、ということらしい。)

(写真はナッジブログから。)


変な例だが、それぐらい、簡単でコストの関わらない、

人間の心理に訴えかける、ちょっとした”Nudge”で

どれだけ世の中を良くできるか、


それがテーマである。


***


で、色々学んでいるうちに、

この授業の影響で


いや、これってまさにあの理論だよな・・・・

と日常生活でも思うことが増えた。


例えば、Prospect Theoryという行動経済学のコアな理論の一つに、

“Endowment Effect”というのがある。


人間は「今持っているもの」に執着しがち。

本来、経済学的な期待値が同じはずのものでも、

今持っているものを手放すのは惜しいと感じて、

価値を高く設定してしまう。


これは、インセンティブ設計や、排出権取引などに応用されているのだが、

人間としてのバイアスが本能部分に近いところだからか、

こういうのは、子供の方が顕著に観察できるなーと思う。


1歳の娘さんは、

さっきまで無価値かのように投げ捨てていたじゃないか!というものでも、

自分が「今持っている」おもちゃを取られるのがすごく嫌だ・・とか。


あと、もう一つ日常生活の例を挙げると、

個人的には、従来型経済学で、

最も違和感(実世界での意思決定との乖離という意味で)のあった

サンクコストの考え方、


すなわち、すでに払ってしまった部分はとっとと忘れて、

その時点での将来CFなりが合理的な判断基準になるという考え方

があるのだが、


それに対応して、

行動経済学では、Sunk Cost Fallacyという考えがある。


「そうはいっても人間、

リソース投下してしまった分だけその選択肢に固執しちゃうよね」


というもの。


先日、バス停でバスを待っていて

時刻表の予定時刻まで10分待って、


アメリカの公共交通機関は遅れる・・・ということで、

時刻表の時刻になってGoogle Mapチェックしたら、

到着予想時刻がDelayで20分後になっていて、

これだったら、むしろ歩いた方が早い・・・、


とその時点で判断すればよかったのだが、

「せっかくもう10分待ったし・・・」

とそのまま結局30分待ってしまった。


既に10分待った、というサンクコストは除いて

その時点で最適なルートで行くのが

従来型経済学の合理的人間の判断・・・

私の判断は完全なるSunk Cost Fallacyだった。。。。


・・と、


他にも面白い理論色々あるので、

またそのうち紹介したい。


***


この授業でのファイナル・プロジェクトは


グループで何か社会の介入(intervention)を考えるもの。


我々のグループは、

「ケネディ・スクールの生徒会の投票率を挙げるには?」

という課題で取り組むことに。


先般の統一地方選では

41道府県議選の投票率は44.08%と過去最低だったようだが、

日本でも投票率を上げるヒントが得られるか?


考えてみたい。


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