HKS女性リーダー達の横顔(4):3人の母であり起業家。幼児教育を変えたい!男女平等の国ルワンダのLydie。


みなさん、世界の中で最も国会議員の女性比率が高い国をご存知だろうか。


北欧の国なんかを想像しがちだが、

実は1位は東アフリカの国、ルワンダである。


ルワンダでは61%の議員が女性であり、大臣も男女半々だ。

ちなみに日本は165位で10%。。。


アルジェリアのLucilaバルバドスのDonnaフィラデルフィアのGwenに続く4人目、

Lydieとのインタビューは色々沁み入る素敵な学びが多かった。


彼女の話を聞いて、

そのパワーと行動力に感動、

彼女のようなパワフルな女性が活躍し、

共にリードしている国、素敵だわと改めて思った。


ルワンダといえば、


映画ルワンダの涙、ホテル・ルワンダなどでも知られている

民族間対立によるジェノサイドから立ち直り

新たな国づくりが進んだ国である。


私も約3年前にキガリを訪れたが、


学校を改築したムランビ記念館を訪れるまで、

ここで凄惨な出来事があったとは想像できないほど、

緑豊かでゆっくりとした時間が流れていて、

特に中心部は整備された綺麗な街並みの街である。


***


彼女は、4人兄妹の長女として、

13歳までルワンダの隣国、コンゴで育った。


ルワンダでの状況から逃れ、多くの難民がコンゴで暮らしたそうだが、

リディーの両親も逃れてきた家族の一つだった。


1994年に、虐殺が終焉し、やっとルワンダに戻ってきたそうだ。


ルワンダで大学を卒業した彼女は、

最初にコンサルティング会社に勤め、

企業の競争力に関するリサーチをしたりしていたが、

24歳で結婚し子供を産んで、1年後に2人目の子供を産むまで、

仕事をお休み(sabbatical)していたそう。


休んでいる期間、

休むことに3ヶ月で飽きてしまった彼女は、

手当たり次第本を読むようになり、

そこから中古本のビジネスを始め、

パートナーを探して出版ビジネスに拡大した。


その後、6年ほど出版ビジネスの社長として成功を収めた後、

3人目の子供が生まれたそうだ。


しかし、3人目の息子さんが生まれて、

預ける先を探していたら、

彼を入れたい保育園(preschool)が無い、という問題に直面した。


ほとんどの保育園は

1人の先生に対して40人の生徒がいるような体制で、

そうで無い学校は年間100万円など、

ルワンダの生活水準でべらぼうに高い。


そこで、彼女は2つ目のビジネスとして幼稚園を始めたのだ。


彼女が本の虫になっている間に知ったのは、

幼児教育の大切さ。


1対40の生徒比率の今の体制が

常識である必要はない、

そう考えた。


彼女は子供のポテンシャルを活かして成長させる

教育方法に魅了され、

自分でモンテッソーリ教育の

18ヶ月のオンライントレーニングを修了して、

小さな規模で保育園を始めた。


最初の生徒は自分の息子。


そしてそこから拡大し、

今では200人以上の子供が学ぶ、

2つの園を経営するようになった。


しかし、彼女が着目したのは更なる課題だ。


ルワンダでは、85%の子供が就学前教育を受けず、

ほとんどが小学校に入る6-7歳で公的教育システムに入る。


教育水準の高い親でさえ、

あまり幼児教育の必要性を認知していないという。

しかし、彼女は「それは間違っている」と言う。


なぜなら、彼女は3歳までに脳の80%が形成されることや

幼児教育がその後の人生に影響を与えるなどの

重要性があらゆるリサーチで証明されていることから、

それを変えたい、と思ったそうだ。


***


彼女が見せてくれた彼女の経営する保育園の動画は、

子供達が活き活きと活動していて、とても良い環境のようだった。


自分も母になるまで、幼児教育の重要性について

実感をもってわからなかったのだが、

ボストンでの保育園のレベルの高さを感じ

娘の成長の様子を見ていると、

本当に幼児教育の重要性には共感する。


「最初は、ビジネスって言うより

趣味みたいな感じで始めたんだけどね。

ただただ子供が好きだし、

でも、小さくても、とにかく始めるのが大切だと思うの。


色々なアイディアを持っている人はいるけど、

一番難しいのは『実際に一歩踏み出して始める』ってことだから。」


彼女をケネディ・スクールに引き寄せたのは、

幼児教育への情熱だ。


「幼児教育の必要性について、

政策レベルで影響力を行使できるようになりたいの。


今の制度では、教育に資金を投下するのが後の段階すぎる。


もっと幼児教育に投資するべきで、

自分が政策従事者に転換することで、

国のリーダー達のマインドセットを変えたい。」


彼女にとって、ケネディ・スクールの魅力は、

ケネディ・スクールの授業で

政策作りやリーダーシップを学ぶだけではなく、


教育大学院やビジネススクール(経営大学院)などの

授業も、クロス・レジスターして取ることができ、


彼女にとって必要なスキル・知識を

総合的に提供してくれる場所であるからだ。


「私はかなり意図的にケネディ・スクールを選んだのよ。

だって、ビジネススクールでの授業も取りたいし、

教育大学院で幼児教育についてもっと学びたかったから。」


***


彼女の話を聞いていて、


いやいや、3人も子供がいて、

二つの事業を経営して、

さらに留学するって・・・・どうやって。。。。!?

と疑問が湧いてきた。


「サポートシステムがあることが大事だよね。

(You have to have the right support system)」


彼女の夫も、建設業界の起業家だそうだ。


自国では、フルタイムのナニーさんを雇っていて、

ナニーさんが料理や掃除洗濯はしてくれる。


「自分の時間を作ること、

自分で自分の時間をコントロールできることは

すごく大事だと思う。


掃除も洗濯も料理も子育てもビジネスも、

全部やるなんて絶対に無理。


人生を組み立てて人生を生きるためには、

人の助けを借りることも大事だと思う。」


そんな中でも、彼女の夫は彼女の最大の支えだ。


「経営者になるのは、すごく孤独なことで。

従業員の前では、リーダーであり、強くなくてはいけない。」


彼女が24歳でビジネスを始め、今では150人以上の従業員を抱える。

どうやって新しい企業で優秀な人材を雇用するのか、

政府とのビジネスだと資金が入ってくるのが遅いなか、資金繰りをどうするか、

若い女性というだけでビジネス界でなかなか尊敬と信頼を得るのが大変だ、、、

彼女は経営者としても沢山の苦難に直面してきた。


「女性だと、毎日化粧をして綺麗でいて、

素晴らしい妻、

素晴らしい母、

そして完璧なビジネスウーマンでないといけない・・

そんなプレッシャーと戦う日々だったわ。


でも、小さな子供が2人もいて、そんなの絶対無理。

すごく疲れちゃった。」


彼女の話を聞きながら、

そうか、こんなに男女平等が進んでいるルワンダでも、

同じような悩みを持ちながら進んでいるんだ、、、と思った。


そんなことを素直にコメントしたところ、


「男女平等だからこそ、だよ。

ルワンダでは、女性が権利を獲得するべく、挑戦してきた。

だからこそ、女性へのプレッシャーはより高い。


私たちは「女性だから力がない・権利がない」なんて

言い訳したり、責任転嫁したりできないからね。」


****


私は妊娠をきっかけに1年ケネディ・スクールの入学を延期したが、

彼女も「サポートシステムを確立する」ために

合格通知を受け取ってから1年延期したそうだ。


結果、彼女と私は真逆の選択をしてる。


3人の子供がいて、二つも事業を経営して、

どうやって1年もアメリカに留学するのか?

少なくとも一番下の5歳の息子は連れて行くべきだろうか?

彼女は合格したはいいものの、本当に行けるのか及び腰になったという。


でも、そんな彼女の背中を押したのは旦那さんだった。


「君は授業を受けて学ぶことになる、

旅行に行ったり、学校のイベントもあるだろう、

そんな時に子供の世話のことを考えていたら、

学ぶべきものや大事なもののチャンスを逃すんじゃないか?」


彼はそう言って、彼のライフスタイルを変えてくれた。


結婚して14年間、

今まで離れて暮らしたことも、

夫が1人で子供を見たことはなかったが、

彼はオフィスを自宅に移して、

子供の面倒を見ることを買って出てくれた。


「留学してから、クリスマス休暇に一度ルワンダに戻っただけだけど、

誰も病気することもなくて、本当に感謝しているわ。


戻ってみて、私がいなくても子供や夫に自分の生活パタンができていて、

私が用無しの気がしちゃってちょっと寂しかったわよ。笑」


「彼のコミットがなかったら、

私のケネディでの生活は多分全然違うものになっていた。

ここで自分の時間をきちんと作って学べることに、

本当に感謝してるの」


ケネディ・スクールでの1年間は、

走り続けた彼女の、少しの休息の時間でもあったのだ。


***


「女性には多動力(multi-tasking)の能力が備わっていると思うのよね*。

色々なことを同時にできることは、ギフトだと思うの。


だから、家庭と仕事はどちらかを選ぶものだなんて思う必要ない。

むしろ補完的な位置付けにあるものだと思うわ。」


「カップルは、

それぞれ自分の好きなように生きる生き方を、

自分たちで選べばいい。


一つの正解はない。

自分たちが決めて、自分たちで創っていけばいいのよ。」


「『競争』は自分自身とのもので、

人と比べたり、

人と競争するものじゃないわ。


自分の人生を良くすることに挑戦すべきね。

Try to make the best of your life.」


行動し、挑戦し続けている

彼女の言葉は本当に沁みた。


生きるヒントを沢山もらったインタビューだった。

(ケネディ・スクールのフォーラムで。 あっ・・またすっぴん・・・)


*5/15追記:尚、女性が マルチタスクが得意、というのは彼女個人の見解で、科学的には証明されていないようですので、一応その点申し添えておきます!

参考:https://president.jp/articles/-/28594


0コメント

  • 1000 / 1000