HKS女性リーダーの横顔(7):シングルマザーのノルウェー元外務副大臣Laila。

==HKS女性リーダーの横顔シリーズ==

(1) 家族の理解が得られなくても自分が変えるーアルジェリアのLucila

(2) 小さな島国からの発信ーバルバドスの外交官Donna。

(3) 選挙ボランティアから政権中枢へーPhillyの良心Gwen。

(4) 3人の母であり起業家。幼児教育を変えたい!男女平等の国ルワンダのLydie。

(5) 防げる失明を減らしたい。医師が政策を学ぶ理由―エジプトのDoaa。

(6) 教育変革者、3歳児の母、妊婦、そして学生-Bethの場合。

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Laila Bokhaliは私の尊敬する女性だ。


女性では数少ないテロ対策・安全保障の専門家であり、

ケネディ・スクール生活をシングルマザーとして

4歳の娘さんと共に過ごしたママ友でもある。


家も同じマンション群に住んでいて、

自宅に招いてもらったり、一緒に子供達を遊ばせたり、

とても近い存在だった。


彼女は、同級生の中ではスピーチの名手であり

美しい詩を披露するロマンチストとしても知られている。


こういうのが、ノルウェーという国の懐なんだろうか。


自然を愛し、美しいものを愛し、人々を愛するライラ。


彼女に出会って、

母親・プロフェッショナルの姿勢も学んだが、

何より「豊かに生きる」

みたいことをとても考えさせられた気がする。


***


彼女はパキスタン人の父親、ノルウェー人の母親との間に生まれ、

主に英国で育った。


彼女のキャリアのスタートはアカデミアである。


テロ対策に関する研究が専門として、

アカデミア、政治、そして外交の3つのキャリアを柱にしてきた。


なぜそもそもテロ対策の研究者になったのか質問したところ、

彼女は「なぜ人々は暴力や武器を自分の主張のために使うのか」というような

質問に興味が湧いたからだ、と教えてくれた。


9.11.のテロ以降は特に、

「テロ」というものについて学ぶことは人々の喫緊の課題だった、

と振り返る。


彼女は、

「人々はなぜ過激化するのか」

「ある種純粋な目的というものを達成するために、

なぜ暴力やテロをという手段を使ってしまうのか。」

ということを常に考えていた。


彼女はノルウェー、欧州、国連などの防衛研究機関で

テロ対策に関する政府のアサイメントに取り組み、

また外交官としてパキスタンにも駐在した。


そんな中、2011年にノルウェーでも「July 22」と呼ばれるテロが起きたのだ。


オスロでの政府庁舎爆破とウトヤ島での銃乱射が連続して発生し、

77名が死亡、ノルウェー国内で第二次大戦以降最悪の惨事であった。


彼女は22 July Commissionのメンバーとなり、

テロ対策の専門家として知見を発揮した。


ケネディ・スクールに来る前には、

彼女はノルウェーの内閣府副大臣、外務副大臣を歴任している。


なぜアカデミアに止まらずに政治や外交の分野に

進んでいったのか聞いてみた。


「だって、実世界ではそうじゃない (because that’s how society works in reality)」

リサーチャーとして研究するだけじゃ十分じゃないわ。


実際にテロを防ぐためには、国際社会が協力しなくてはいけない。

行動を起こさないといけない。(We have to act.)」


「私のことを批判する人は、

君は「純粋な」研究者じゃない、と言うわ。


でも私はそうは思わない。

政策や政治のことをわかることは、

私をさらに良い研究者にしてくれることでもあると思うの。」


***


彼女は、ケネディ・スクールでもかなり精力的に活動していた。


サイバー・安全保障の専門家でもあり、オバマ政権の防衛大臣補佐をしていた

エリック・ローゼンバック教授のコース・アシスタント(助手)をしたり、


(※ちなみに、ローゼンバックは、温かい人ではあるものの、授業に関してはガチのコールドコールを連発する、めちゃめちゃ頭がキレる厳しい先生として知られており、私もコテンパンにされて凹んだことがある。)


卒業スピーチの選定委員会の委員をしたり、

ミッドキャリアセミナーの運営者のメンバーになっていたり。


かといえば、週末には自宅でパーティをしてくれたり、

娘をバレエやスイミング教室、コンサートに連れて行っていたり、

北欧クラフトの教室を開催してくれたり。。。


振り返って、

自分は最低限の子育て(お弁当は散々だし、ほぼ週末も家の前の公園が精一杯・・とか)と

授業とほんの少しの課外活動で常に瀕死の状態になっていた状況とからすると、


どうやったらそのエネルギーと時間とが出てくるのか、

本当に同じ人間とは思えなかった。


素直にその疑問をぶつけたら、こう言われた。


「私は沢山のことを一度にハンドルするのに慣れてるんだと思う。」


「外交の世界にいると、

特に、首相官邸と外務の両方の副大臣を経験したから、

その仕事って、

24時間365日の仕事(24-7job)なのよね。


ものすごく責任も重い仕事で、

時間のプレッシャーとか、多くの物事を処理するのに慣れたのかも。


あの経験は私のキャパシティを広げてくれたと思うわ。」


外務副大臣として膨大な任務をこなす間にも、

彼女は娘さんと過ごす時間を大切にしたそうだ。


彼女と旅程を共にすることも多かったというし、

また、時間を作るために、

チームの打ち合わせの時間を朝8時から夕方4時までに収めるなど

の働き方対策も先陣を切って行なっていたという。


彼女が組織のトップであったから、

彼女がルールを作り、スタンダードを決めることができ、

それが将来のリーダーにとっても良い基準になると考えてたという。


・・・・確かに・・・・。

外務副大臣として飛び回っていた頃に比べたら、

学生としてのカオスなど、小さな話かもしれない・・・・。


彼女に、ケネディ・スクールにいる間の

娘との時間の過ごし方について聞いた。


「どんなに忙しくてクレージーでも、

娘がベッドに入るときには、一緒に過ごすようにしてるの。


私と娘の大切な、儀式みたいなもの。

彼女は今日何があったか、っていうのをそこで話してくれるわ。


彼女がその日に誰に会ったとか、

どんなことがあった、とか

聞くのはとても幸せ。


私の友人だったり、保育園のお友達の話だったり。


私は彼女に自立した女性になってほしいと思ってて、

彼女が毎日新しい人に会って学んでいるのを知るのが幸せ。」


***


そんなライラに、困難や挑戦について聞いてみた。


「うーん、困難について思い出すのって難しいよね。

私いろんなことに興味があって、

一つのことに集中するってのが困難かなぁ。。。」


そうなのだ、

彼女の強さは、

日々全てのことを楽しんでいることであり、

人生の楽しみ方、みたいなものを体現している人だと思うのだ。


「じゃあ、私は時々、

専業主婦のお母さんほど子供に時間を使っていなくて

自分の勉強したりすることに、すごい罪悪感を感じたりするんだけど、

そういうことってライラでもあるの?」


個人的には、ノルウェーみたいに男女平等が進んでて、

女性が働きやすい環境が確立しているところでは、

もしかして日本人的な、私みたいなことは悩まないんだろうか、、、

という素朴な気持ちで聞いてみた。


「それは常にチェレンジだよ。」


その彼女の答えは、

あぁ、お母さんの気持ちって万国共通なんだ、

と思った瞬間だった。


「私は彼女にできる限り自立した女性に育ってほしいと思うの。

自分の決断を自分できちんとできるような。


だから私は彼女の見本になるような生き方がしたい。


私は彼女が幸せだったら幸せよ。


親って子供の人生に責任があると思うわ。

この小さな生き物は、今はあなたに頼るしか生きるすべがないのだもの。」


この話をしているときに、

ライラは初めて目を潤ませた。


「いろんなことに優先順位をつけなきゃいけないわよね。


私、結構社交的な人間だけど、ここにいる間は、

夜にパーティに行くことの優先順位は下げて、

その代わりに、人を自宅に招いてたの。


週二日間は7時までのクラスを取っているから

友人にお迎えを頼んでるわ。


自分の信頼する人に彼女を託していて、

それで、彼女も自立することを学んでほしい。


あと、私は彼女に小さな時から

国際的なセッティングを経験して欲しかったから、

ボストンで色々な経験をしてくれることが嬉しい。


とにかく、今の環境でベストを尽くすしかないよね。」


彼女が自宅に友人たちを招いてパーティをしていることや、

学校のイベントに積極的に娘さんを連れてきていること、

彼女の行動の背景を少し感じることができた。


***


彼女に取って、ケネディ・スクールに来ることは、

新たな視点を得ることだったそうだ。


外務副大臣として忙しい日々を過ごし、そこからリセットするための時間だったという。


「一流の人たち、素晴らしい頭脳、色々なものに触れて、

また謙虚な気持ちになったわ。」


彼女はまたノルウェーに戻って次のステップへと向かう。


「私は、これからも自分の価値に嘘をつかないリーダーでありたい。

次にやることも楽しくて意義のあることであることを祈るわ。」


***


「Be ready for surprises。

あなたは他の人の見本になることができるんだもの。

重い責任を担うことは素晴らしく楽しいことよ。

困難な決断でも、決断をしたら、その中で最大の努力をすればいい。

後悔しないことね!」


向山 淳 | ムコウヤマ ジュン website

挑戦できる未来

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